このような質問をよく受けることがあります。
ここでは、どうしても越えられないTOEICの壁に立ちふさがれている人に、それを越えるひとつのアイデアを紹介します。
具体的な教材としてはNHKの「実践ビジネス英語」とアメリカの雑誌「TIME」をもちいてTOEICの壁を越えていきます。
TOEICの壁
TOEICは数多く受けると、ある点数までは順調に伸ばす方が多いです。
TOEICの試験は独特な試験ですので、試験問題に慣れること、制限時間を意識することやある種の解法テクニックによって点数を上げることができます。
なかには2回目で100点以上も点数を伸ばす方もいて、実力が伸びたものと錯覚するのですが、実は単に試験になれただけだった、ということがよくあります。
しかし、回数を重ねても、ある程度の点数を伸ばしたところでプラトーに達してしまい、TOEICの見えない壁にさえぎられてしまいます。
これをTOEICの壁ということにしましょう。
インターネットが普及する現代では多くの質の高い英語の情報があふれていて、それを効率的に取り込めないとどんな分野でも差がついてしまいます。
しかし、時間との闘いであるTOEIC対策の勉強だけでは、じっくり考えるときに必要な語彙力や表現力は意外と身につかないものです。
TOEICの壁を越えるための処方箋
NHK「実践ビジネス英語」
米雑誌「TIME」
700点を超えたけどそれ以上点数が伸びない、TOEICの壁に悩んでいる方にお奨めするのが「実践ビジネス英語」と米雑誌「TIME」を活用した勉強法です。
「実践ビジネス英語」はNHKラジオ第2放送の語学講座で、「TIME」は長い歴史を誇るアメリカを代表するニュース週刊誌ですが、どちらもコストが低く、内容も大変興味深い、という共通点があります。
「実践ビジネス英語」の活用方法
「実践ビジネス英語」についていえば、レベルの高いネイティブによる臨場感あふれるジョークなども交えた実際のオフィスでの会話を彷彿とさせる会話が毎回(2週間でビニエットとよばれる1話が進みます)展開されます。
舞台の設定は日本人の29歳の若者がニューヨークにあるアメリカの健康美容関連の会社で米国人やカナダ人の同僚に囲まれて働くというものです。
「実践ビジネス英語」の特徴は最新の、主にアメリカの慣用表現(熟語)が出てくることです。このような熟語は自分からは使いこなせなくても知っておいて損はなく、特にネイティブとの会話やメールのやりとりでは大いに役にたつものだと思います。
「実践ビジネス英語」の効率的な活用法としては、土曜日の午前11時からの放送(再放送なので3話まとめてやります)を聞き、必ず「実践ビジネス英語」を録音し、それを後で語学アプリに落とし、速度を速くして聞きます。
こうすると聞き取りの難易度が上がるため、「実践ビジネス英語」を2回目に聞く時は丁度よいのです。
当然のことですが、「実践ビジネス英語」にはテキストがあり、毎月発行され税込486円ですが高い投資ではありません。
「実践ビジネス英語」のテキストには、毎回の新しい単語、熟語のほか聞き取れたかのテストもついています。
知らなかった単語、熟語は「実践ビジネス英語」用のノートに書き留め、毎日のようにながめるというのも医師国家試験を乗り越えたものであればできることではないでしょうか?
「TIME」の活用法
「TIME」の活用英語勉強法ですが、「実践ビジネス英語」に比べ多少難易度も高く、そして実践している人の数も減っているかもしれません。
しかし、毎年末の「TIME」の名物コーナーである”Person Of The Year”(年男/女)が世界的な話題となるようにこの雑誌の権威やレベルは衰えていません。
「TIME」を定期購読(年2万円程度)していると、印刷所のあるシンガポールから、毎週火曜日ころに50-60ページの冊子が届きます。
「TIME」は雑誌としては薄いかもしれませんが、最新で洞察の深い、工夫に満ちた文章の記事が満載です。
洞察と工夫に満ちていることが、「TIMEは難しい」という評判につながっていると思われます。
しかし、この「TIME」が「難しい」というのは、「単語力」と「慣用表現力」に原因があり、文章そのものが難解というわけではないのです。
「TIME」は単語、熟語および慣用表現の知識を習得するために最適な教材なのです。
TOEICの壁を克服するには国試的な「プール問題をこなす」だけでは乗り越えられないのです。
「TIME」を活用しながら表現力を吸収する必要があります。
そして、表現力豊かな文章が満載されている「TIME」そのものを活用して勉強することが実はTOEICの壁を克服する近道であったりします。
TOEIC700点以上の方であれば語彙力はある程度ありますし、読んだ記事で出くわした知らない単語を調べ学習することはそれほどの学習量にはならないと思います。
「TIME」を活用する際にやってほしいことは、発音や語法(たとえば動詞であれば、前置詞はどれが適切かといったこと)を併せて調べていただきたいです。
他の医師たちが使うメールをみていると、前置詞等がまちがっていることが多く、ネイティブにどう思われているかと思うと心配になることがあります。
もちろん、ここではTOIECの壁を乗り越える効率的な方法を「TIME」を使ってご紹介しているのですが、日常的なメールのやりとりにも表現力のある英語の文章を書くことができるというのは大きな武器になります。
さらに、単語の場合、その言葉の類似語を辞典で調べることができればベストです。
こうすることにより、語彙が広がるだけでなく、英語での会話で様々な表現ができるようになり、一挙に会話のスムーズさが増します。
「TIME」の表現で会話することができるということは、リスニングでその表現が聞こえてきたときにその表現を耳で認識できるようになるということです。
リスニングで聞き取りができない原因のひとつとして知らない表現を聞いたときに聞こえないということがあります。
調べた単語、表現はノートや手帳に控え、通勤の電車の中等でチェックすることをお奨めします。
残念なことですが、こういったレベルの単語や表現は使用頻度が高いとはいえず、忘れる危険性が高いので日々のメンテナンスが必要となります。
もし、これらの表現が「TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ」に掲載されているものであればかならず覚えるようにしましょう。
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まとめ
ここでは、NHKの「実践ビジネス英語」とアメリカの雑誌「TIME」をもちいたTOEICの壁を克服する方法をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
時間が限られているので「実践ビジネス英語」はまとめて聞くことができるかもしれませんが、なかなか「TIME」まで手を広げることは難しいですよね。
しかし、表現力を獲得するためには「実践ビジネス英語」と「TIME」はいい教材ですので、試してみてはいかがでしょうか?